炭酸リチウム
じぇいぞろ


元素記号のセメント原料で、しゅわしゅわはしない。
濃赤色の花火で、双極性障害に使用される主剤。

染色体にプリントされていた負の因子の所為。現代医学を以てしても、セメント花火を飲まされるのだ。

ショットガンで自殺したニルヴァーナのカート・コバーンが歌った?Lithium?への憧憬と死への衝動。

もうひとつのアイテムは、精神疾患の犯罪者がたいてい所持していたというサリンジャー。

とりあえず、ギターも壊していないし、エレベーターで靴を見つめていたと怒ってもいない。鏡はもっと見るべきかもしれない。

だから、いまのところ死んではいない。

月が明るい夜、屋上に上がれるビルを探して歩く、病んだだ青猫であり続けるか。

ジェットコースターをメリーゴーラウンドに変える闇魔術を選ぶか。同時に、平地を這うような永遠の絶望を享受するか。

生きていくには選択肢はなかったわけだが。

この先と考えて、
考えるのを止める。
喪失感を受容するしかないのだ。

波トタンの様に平板な感情で、ぺなぺな揺すぶられてそよぐしか術もなく。
軽石みたいに空いた脳からこぼれ落ちる記憶を、必死で抱えこんで立ちすくむ。

いずれ

硬化した骨は斎場の裏で、金槌でかち割られ、待望の空へと舞っていく。

その日は、晴れているといいな。



自由詩 炭酸リチウム Copyright じぇいぞろ 2015-05-16 09:49:56
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