桜の散り染める夜に
梅昆布茶
遥か雑踏を離れて
孤では在りえない存在を確認する
収拾のつかない順序をゆっくりと整理する
いきることは水底をしらない漣
序連で奏でられていた通奏低音は
変化しまどろみ羽化すべき朝を
想いついたように
手帳に書き込むのだ
たとえばサルトルが実存とはなじまない
華やかなパリでの生活を送っていたこと
特攻で散華した若過ぎる飛行士の
最期のことばを聴き続けた帝国海軍の無線技師
いつもの夜の交差点で
またかとおもうほど抱き合って
キスをかわす熱い男女
2日で完売する
新宿小田急百貨店の福袋
誰も来ないままで夜のバスは出発する
目的地はあなたあるいは僕が書き込んだ
そんな曖昧な乗り物だ
夜のバスはゆく
観光地もすどおりしてあなたと僕の故郷へ
終連は蓮の華の咲く泥濘の沼地
どこからともなく灯っている光はたぶん命
感受性のげんかいを超えて
あなたと僕が生きれるとしたら
それはとてもたいせつなことなので
詩にしてほしいかとも想うのです