名をつけたがる
千波 一也
一度きりの
ときとして、つかの間の
或いは
やがての日々の懐古となる
すべての複雑な
シンプルさに
ひとは
名をつけたがる
かなしみだとか
裏切りだとか
やさしさだとか
儚さだとか
単純なものたちに覆いをかけようとする
言葉たちは、実は
平易なようでいて
むずかしい多層構造をもつから
ひとは
名をつけようとして
さまよい続ける
出会いのたびに
別れのたびに
痛みのたびに
癒しのたびに
自由詩
名をつけたがる
Copyright
千波 一也
2015-05-13 13:28:31
縦