そんなこと
花咲風太郎

蝋燭の灯りが消えてゆくように
真っ暗闇になるのだと
そんなふうに
誰に教わったわけでもないが
そんなふうに
思い込んでいたもので
真っ暗闇に包まれて
何も見えなくなることは
なんとなく
知っているつもりで
そんなときの
怖がりかたは承知とばかり
おかしな余裕を持っていたもので
いやそうではない
ほんとうのその時は
眩しい光りに包まれて
何も見えなくなるのだと
そんなふうに
唐突に思いついたものだから
すっかり落ち着きを失くしてしまい
さていったいどういう心持ちなのだろうと
やや狼狽しながら
ゆめにうつつに
そんなことを考えている
いよいよ近ごろは
そんなことばかり考えている


自由詩 そんなこと Copyright 花咲風太郎 2015-05-12 07:05:04
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