段差のない家
かんな




つるーっと
玄関から入ってきた
ひとつのボール

丸いな
手にとるわたし
明日は晴れるのかな
お母さん

きっと晴れね
これ水色だもの
受けとるお母さん
夕ご飯は何がいいかしら
お父さん

コロッケかな
このくらい大きな
受けとるお父さん
誕生日に欲しいものは決まったのか
お兄ちゃん

バットがいいな
この硬さが打てるくらい
受けとる兄さん
これがちょうどいいんじゃない
お姉ちゃん

あらほんと
ちょっと貸してよ
受けとる姉さん
転がすとごろごろごろ
追いかけていく猫のシロー

待ってよ
待って

玄関からまた
つるーっと出ていく
ひとつのボール

まるで
小さな
地球のよう

だれかの家でも
転がりつづける





自由詩 段差のない家 Copyright かんな 2015-05-10 06:04:35
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