ゼリー色の夏
ことこ
おしみなく愛をそそいで枯れさせてあたりいちめんプールの匂い
この先でアラームが鳴っていなくても立ち止まらないでください、と声
あかあかと尾びれ背びれが生えていき あとからあとから水にゆれてる
扇風機かかえて帰省するひとと家族をつれて帰省するひと
(はなび)また(はなび)花火のおとがしてあなたのやさしさとすれ違う
いっせいに暗がりになり駆け抜ける野外音楽堂のうちがわ
台風のはなれていった夕暮れにスイカ切ります近づかないで
さきざきでぶつかりあって散る星がなにもいわずに瞬いていた
朝顔の種をひそかにあつめてくしらないひとの家の軒先
ぼんやりと気泡が昇り(息をして)うすいしお味のゼリーを食べる