翼ある憂鬱
塔野夏子
翼ある憂鬱が
私を浮揚させている
薄明でも薄暮でもあるような
ブルウグレイの空間に
静けさの遠くに
ほの白く小さく浮かぶのは
船の帆のようでもあり
君の面差しのようでもある
いずれにせよ
その遠さが
いまは奇妙に心地よい
私は小さく歌う
この憂鬱が途絶えぬように
この遠さがそこなわれぬように
自由詩
翼ある憂鬱
Copyright
塔野夏子
2015-05-05 16:58:40