冬に見る夢
岡部淳太郎

ここから先は人でないと渡れない
その橋を歩く
時は待っていて
ずっとおまえのために待っていて
待ちくたびれてさっさと行ってしまった
置き土産に
こんなに寒い冬を残して

ここから先の霜で舗装された道
その上を進む
おまえの思いの
季節を経た後でのくるい
雲の上に飛ばした電波
かぼそい思いは
どこにも当たらず
どこにも届かずに
静かに消えていった
ただ獣のようなものが一瞬
視界の端をよぎっただけだった

ここから先は人でなしは通れない
その森をぬける
すべてを黙って送り出してしまった
そんなおまえを責める冬の圧力
おまえの人生は夢ではない
だからこそせめて眠れ
そして目醒めた時
窓の外は
雪!




自由詩 冬に見る夢 Copyright 岡部淳太郎 2005-02-09 00:06:16
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