不思議な涙
小川麻由美
涙が滴り落ちた先には
絢爛たる辻が花の文様
涙と文様が醸し出す
融合は偶然の成す技
今にも落下しそうな
涙は ほほで弧を描き
柔肌から離れた途端に
滴と化し宙を突き抜ける
まつ毛を潤ませる涙は
その者の目を更に印象付ける
涙を拭う事さえ
忘れている
涙の原因
その者の視線の先に
あるものと言えば
未来であった
その者が涙するに至った
未来とは何を意味するのか
歓喜か苦悩か
他者には覗けない
自由詩
不思議な涙
Copyright
小川麻由美
2015-05-02 12:33:16