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為平 澪

汚いことから 目をつぶれば
長生きできると 世間が言う
汚いことに 目をつぶれば
死んでしまうと 風は言う

万年床、密封された部屋で
背中は地心のマグマに 燃やされながら
瞼に青い炎が一つ、 浮かんでは 
真っ赤な空へ昇ってゆくことを 繰り返していた

空に手が届きそうになると 私の体から
海が溶けて 溢れ出す

そこには 境目もなく
不透明な得体の知れない
遺体が一つ、風に晒されてあるだけだ

汚いことに 目隠しされた王国で
私は私の 腐乱死体を
今日も見つけて 
リストにあげる


自由詩 リスト Copyright 為平 澪 2015-04-28 16:53:49
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