深い夜に
ヒヤシンス
表通りに街灯は点る。
閉め切られたシャッターの並びの中に誰かの忘れた人形が笑う。
心の休息は遥か彼方に横たわっている。
詩を歌えなくなった者は思い出の中に消えてゆく。
垂れた前髪をかきあげると新しい世界が見える。
両の手を眺めてみても何も生まれない。
今日もまた夜は来る。
誰かの悲しみが夜の街には溢れている。
表通りに街灯は点る。
汚れたキャンバスがあちらこちらに転がっている。
誰かの言葉が心に突き刺さっている。
抜こうとすると体中の血液が傷口に向かって逆流しようとする。
笑っているはずの人形の口元が痛みで歪んでいる。
私の知らない誰かの苦しみは決して私に見えるはずもない。
今日もまた朝は来る。
そうして私は一人いつもの祈りを繰り返す。