夕焼け小焼けで…
イナエ

夕焼け小焼けは ビルの先
から降りて来ない都会
谷間でうごめく人々は
電飾を着飾っていて
日暮れがない

○○山の△△寺(でら)はビルに飲み込まれ
夕暮れの梵鐘は口を閉じて
頭の中で鳴ったとしても
伸ばす手はスマートホンに絡まれて
カラスと一緒に羽ばたく気配なく

コンテナに詰め込まれて
穿たれた窓を通り過ぎる時刻の
風景など見向きもせず
巣穴に帰り
睡魔に一日の終わりを催促されろ頃

宇宙の埃のような地球を大切に
大切に廻っている月の
微笑みが窓から覗くと
人々は私人の情報を暴かれることを恐れ
キラキラと地球に落ちる星影など
見向きもせず 
カーテンを閉じてしまうのだ


自由詩 夕焼け小焼けで… Copyright イナエ 2015-04-23 10:35:48
notebook Home 戻る