自己主張
イナエ
玩具売り場の前から幼児の泣き声が
人の溢れた地下街広場に響いて
若い夫婦の困惑が子供を叱る
幼児と親と対立する主張は
地下街の雑踏を立ち止まらせ
黙らせる
己の主張が通らないことを
知った幼児の不満と困惑
この爆発した不幸を担いで若い父は階段を上る
体中から発する自己主張は地上に連れ去られ
雑踏は笑みを潜めて再び動き出した
今 わたしに
これほど真剣に己を主張をすることがあるか
辺りを見回し 無理だと思えば閉じてしまう
あの幼児も何時か欲求を己の中に閉じ込めて
忘れさせてしまうのだろうか
それが大人になるということだ
としても