オシアゲ
こうだたけみ

押して上げる、寄せて上げるみたく。
押して揚げる、寄せて揚げるみたく。
押してアゲル、寄せてアゲルみたく、
飛び込むなら、今。

八の字跳びが、
跳べなかった前の人に続いて飛び込め
なかった怖くて一呼吸おかないと跳べ
なかっただから一組の女子の連続記録
はいつだって私の前で止まる。

東京の押上に、
有名なタワーがあるでしょ東京タワー
じゃなくてスカイなんとかあれ曇った
日に見ると天辺が雲で隠れてどこまで
伸びてるのかわかんなくなるんだあの
姿見るたびバベルの塔だなって思うし
自立式で高さ世界一を記録ってなんか
やっぱ罪深いって思うぼんやり。

幼い頃の私は、
ぼんやりしてる子供だった本人は空想
やら妄想やらで脳ミソ忙しくしてたの
に端から見るとボーッとしてたみたい
でそんな私を見つけては父親が寄って
来て耳元でぼーぼーって言うからハッ
と我に返る私はさっきまで何考えてた
か思い出せないんだこれっぽちも。

子犬を見れば、
ポチと呼びたくなるのが日本人の性で
しょうかうちのタマ知りませんかって
聞いて回るほど猫愛を育まなかったの
はペット禁止の団地にすし詰めだった
からでしょうか動くもの全部怖い怖い
怖いコワイと目を瞑るから突き指する
のよガタガタに曲がった小指でドッジ
ボールは嫌い嫌い嫌いキライって言い
続けてる子供のままの私のまぶたを今、

    ル。





自由詩 オシアゲ Copyright こうだたけみ 2015-04-15 20:53:38
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