自称詩人
……とある蛙

およそ文芸である以上読者がいて、個人的な人生あるいは社会的になんらかの影響力をもつもの、あるいは芸術としての愉悦を読者に与えるものでなければならない。

詩として

C42 サンフランシスコブルース
詩人になりたいものだ
でなきゃ死んだ方がましだ。
        by J・ケルアック

詩を書くペテン師の俺は
1歩歩くにももったいぶって
ケンタウロスがどうの
エトスがどうの って
まぁ 飾りだらけの言葉を並び立て
自分が知的である振りや
自分がナイーブである振りなど
いかにもって 格好をして
町外れの駅まで歩くのです。

その間の風景には
格好をつけさえしなければ
2月だというのに芽吹く前の梅の枝が
塀越しに道に張り出していたり
野良犬と思っていた雑種の犬
が実は飼い犬で買い主と散歩していたことや
歯医者の2階から
朝のあいさつをしているのが
オウムでなく九官鳥だったことや
いろいろ見えてくるはず。

塀沿の上で蹲っている猫が
見事なロシアンブルーであったことや
すれ違った乳母車の中が
実は小さな婆ちゃんであったことや
見過ごしてしまったどうでもいいことがたくさんあって

なぁにが詩人だと
後ろ指を指されても相変わらず
くだらないプライドを後生大事に
内蔵脂肪の内側に隠しているのです。
肥満の原因は分かっているのに
そのままぶくぶくと太ってしまって
駅まで歩く事すら億劫になってしまった

自称詩人が何を隠そう私です。


自由詩 自称詩人 Copyright ……とある蛙 2015-04-13 15:18:12
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