夜と虚像
木立 悟






やそ ここのそ 
ふたほ みほ
灯が消えるたび現われる
花を数える花の声


晴れた夜に飛び交う羽
影は枝 影は茎
すりぬけてはひとり
水たまりの径


食べてはいけないと
思いながら食べてしまった
うなじの花
手のひらの花


誰のものでもないと
わかっていながら奪ってしまった
鎖骨にとどまる音
金緑の音


ふたちとおあまりいつつ
いそあまりふたつ
埋まらないはざまの夜を
駆けてゆくけだもの


花が花を抄い
口に含み
鏡にこぼれ
虚は双つに満ちてゆく
さわれぬ姿に
満ちてゆく





















自由詩 夜と虚像 Copyright 木立 悟 2015-04-13 09:38:45
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