豆腐小僧

柳に風が
いつまでもやまないので
僕はここから離れられずに
時間だけが コチコチ
鼓動だけが ドキドキ
規則正しいリズムを鳴らして


柳に風が
ただ吹いているのを見ているだけで
なんだか満たされた気持ちになるのは
そのリズムの中に
僕たちの知らない秘密が
隠されているせいなのかもしれない
それは繰り返す波の秘密であり
いっせいに飛び立つ鳥たちの秘密であり
僕が僕であることの
秘密なのかもしれない
柳に風が
吹いているのを見ていると
僕は何かをほのめかされているような気になる


柳に風が
いつまでも吹いているので
柳に風が吹いているのだか
柳が風を吹いているのだか
だんだんわからなくなってくる
向こう岸では子供がふたり遊んでいて
その手前を深い川が流れている



自由詩Copyright 豆腐小僧 2015-04-09 23:20:56
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