柳
豆腐小僧
柳に風が
いつまでもやまないので
僕はここから離れられずに
時間だけが コチコチ
鼓動だけが ドキドキ
規則正しいリズムを鳴らして
柳に風が
ただ吹いているのを見ているだけで
なんだか満たされた気持ちになるのは
そのリズムの中に
僕たちの知らない秘密が
隠されているせいなのかもしれない
それは繰り返す波の秘密であり
いっせいに飛び立つ鳥たちの秘密であり
僕が僕であることの
秘密なのかもしれない
柳に風が
吹いているのを見ていると
僕は何かをほのめかされているような気になる
柳に風が
いつまでも吹いているので
柳に風が吹いているのだか
柳が風を吹いているのだか
だんだんわからなくなってくる
向こう岸では子供がふたり遊んでいて
その手前を深い川が流れている