『桜のなみだ』
座一




冬枯れの桜並木
まえを行く人の うしろ姿が冷たくても
愛された きのうがあるから
がんばれる 今日がある


たとえば お弁当作ってもらって
たとえば そこは危ないよと 教えてもらって
いっしょに笑って いっしょに泣いて
いっしょに一歩ずつ進んで

受け入れてもらって
受け入れてもらって
少しずつ育っていって
当たり前のようなそんなことが
ただしい道を つくってゆく


きっとあの子は 足りないんだろう
ただただ まだまだ 欲しいんだろう
人肌の あたたかみ
やさしい言葉 やさしい気持ち

時には 炎のように叱る
嫌われてもいい 憎まれてもいい
すべてはあの子のため
あの子の明るい未来のために

心の底から 抱きしめ合える日を 信じて
あの子を想う その心が
いつかあの子に 伝わるまで


ありがとう ありがとう
感極まった桜が ひとひらの
うれし涙を こぼすとき


じゅうぶんに満たされたから
歩きだせる 今がある











自由詩 『桜のなみだ』 Copyright 座一 2015-04-08 20:17:25
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