ふたつ ひかり
木立 悟





紙の橋
響きのなかに
消えかけた椅子
はらはらと
四角い影を残して


紙の羽
曇った朝の傾き
手のひらひとつの
まばたきとあざむき


雪が雪にわたす刃
猫が水を掘り
向こう側へ消えていっても
冬は冬のままつづいてゆく


小さな手鏡のなかの雨
三つ編みとうなじ
朝は胸から脚へと流れ
空は姿なきものの軌跡に満ちる


動かない空のなかを
近づくものがあり
刃をふるうものは刃を捨て
土に倒れ 水を見つめる


紙の羽を背負い
人は飛び去った
光はふたつ
昼と午後を手に
お手玉とあやとりを繰り返した


















自由詩 ふたつ ひかり Copyright 木立 悟 2015-04-08 09:42:57
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