ふたつ ひかり
木立 悟
紙の橋
響きのなかに
消えかけた椅子
はらはらと
四角い影を残して
紙の羽
曇った朝の傾き
手のひらひとつの
まばたきとあざむき
雪が雪にわたす刃
猫が水を掘り
向こう側へ消えていっても
冬は冬のままつづいてゆく
小さな手鏡のなかの雨
三つ編みとうなじ
朝は胸から脚へと流れ
空は姿なきものの軌跡に満ちる
動かない空のなかを
近づくものがあり
刃をふるうものは刃を捨て
土に倒れ 水を見つめる
紙の羽を背負い
人は飛び去った
光はふたつ
昼と午後を手に
お手玉とあやとりを繰り返した