麦焼酎をこぼして
北大路京介
君が抱かれているあいだ
僕は麦焼酎をこぼして
歳時記がびしょ濡れだ
ティッシュが酒を吸収していく
桜の時期に夏の句を詠み
紅葉の時期に冬を詠んでいる
歳時記が乾くまで
ギターでもいじろうか
ねぇ 君は今も爪をたてているのだろうか
男は痛みを我慢しているのだろうか
誰に聞けばいい なんのために生きているのか
誰に聞けばいい なぜ死んじゃいけないのか
喉がかれるまで無責任なラブソングを唄って眠る
誰に贈るでもない歌で叫んで眠る
誰に聞けばいい なんのために生きているのか
誰に聞けばいい なぜ死んじゃいけないのか