話しかけることができない
草野春心



  きみに
  話しかけることができない
  脈をうつこめかみに手をふれて
  ひとつめの言葉をさがしているのに
  どうしても話しかけることができない
  うまれて初めての夜がきたかのようで
  咳がとまらない
  陽にそまる世界のまぶしさが嫌になるくらいかなしい
  しんじられるものはショパンの歌のほかにない
  そのような こわれやすい自分でしか
  きみに 話しかけることができない
  わたしは きみに……




自由詩 話しかけることができない Copyright 草野春心 2015-04-03 23:06:38
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