疲労
葉leaf




疲労が隕石のように落ちてきて
僕に直撃したのちそそくさと立ち去り
僕はつぶれてのっぺり薄く延びていきました
僕はどこまでも延びていき
地球を丸々覆うシートになりました
脱力し弛緩しているけれど
とても強靭で絶対に破れないシート
雨が降り受け止めました
草が生え優しく包みました
疲労した僕は大地と接することで
地球の皮膚として膨大な刺激を感じ取りました
海が波立ち日光は移ろい
全てにさらされたのち
僕は山からも都市からも複雑さと混乱を吸い上げ
再び一個の錯雑した人間へと凝縮しました
僕は複雑であることにいつも疲れています
だからときたま人間をやめて単純になって
複雑さを捨ててただ地球の複雑さを受け止めるだけにする
シートとして地球を覆っている時間に
文明は二つくらい興亡しますし
地球も地軸を傾けますが
再び人間になるということは
疲労の官能から健康の地獄へと
元気であるという錯綜した概念の地獄へと
昇天していくことであります


自由詩 疲労 Copyright 葉leaf 2015-04-03 05:54:13
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