可哀想なデブ
花形新次

えっ?そんな・・

僕がみんなの前で
別れの挨拶をしているとき
泣いているきみに気づいた
他には誰もいなかった

「俺、あの娘に金貸してたっけか?」

その日は特に何もなかった
翌日の昼
その娘から
ひとつ多く注文した
弁当を食べてと渡された

良い娘だった
とても優しい娘だった
でも、それだけだった

扱いは
可哀想なデブそのものだった

それ以上には発展しようもなかった
だって、俺、結婚してたし。


自由詩 可哀想なデブ Copyright 花形新次 2015-04-02 21:53:56
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