ふたつ ふたたび
木立 悟





どのくらい近く
どのくらい遠く
しあわせに触れていられるのか
目に落ちてくる
滴を見つめた


ふたつ ふたつ
ふたつのはざまの
無数の重なり
波のざわめき


療養所を跨ぐ青空
ひとつ向こうの空の雷鳴
灰の火の音
変わりつづける音


光が
滴や羽であることをやめ
そのままのかたちで近づいてくるとき
空は
失くなっている


壁に隠れた窓のまばたき
昇りつめるときも
堕ちつづけるときも
ただ曲がり角にだけ佇む影
宙を満たすかけらを見つめている


ふたたび空は現われて
冷たく短いしあわせに笑む
花はすぎる 水はすぎる
今朝みた夢が径の端に立ち
目に落ちる滴を呼んでいる




















自由詩 ふたつ ふたたび Copyright 木立 悟 2015-03-31 09:39:49
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