脈。
梓ゆい

大きな一呼吸

(ピーッ・ピーッ)と鳴る心拍数

閉じたままの瞳

左回りの一針が

小さな不安を呼び起こす。

(高い鼻・長いまつげ・尖ったあご)

顔立ちが美しいと

改めて思う。

すこし溶け出した雪

(ぴしゃっ・・・・。ぴしゃっ・・・・。)と

はねる泥。

(早く!早く!!)と

手を握る為にやってきた・・・・。

誰かと繋がっていないと壊れそうな私は

知っている番号に電話をかけ

逐一誰かにメールを送る。

左へと進む針が

「もうすぐだ・・・・。」と言っている様で

腕時計を鞄に入れた。

(時計は、悪魔の持ち物。)

せかすように動く度

脈拍数が平行線に近くなる。

手を握り/足を揉み/血の巡りを保とうと

両手は絶えず身体に触れた。

「朝が来て、声をかけるのを待っているから・・・・。
その目が開いて、私を見るときを待っているから・・・・。」

一定の機械音

曇りの無い酸素マスク

左回りの一針が

大きな不安を呼び起こす。









自由詩 脈。 Copyright 梓ゆい 2015-03-30 21:15:55
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