三陸鉄道〜その瞳をみていたら〜より
黒木アン

レトロ列車で鉄旅を


南リアス線
●盛駅
ゆらゆらゆらら
青海原に
水うつよい音
季節の風をたしかめて
列車のなかは
ひだのはいった
優雅なカーテン
むき出した配管が
懐かしい心をくすぐって
昔をさがしたくなるのです

穴通磯
に近づけば
海食でできた3つの巨岩穴
遊覧船でくぐれます

●綾里駅
●恋し浜駅


●吉浜駅

●いさり火大観音平田駅
釜石立鉄の歴史館
でみる
原寸大に復元された
洋式高炉は圧巻です
●釜石駅
呑ん兵衛横丁
長屋のように並んでる
小さな店をぶらぶらと
ほろ酔いのはしご酒
夢の夜はおわらないでと
見上げてくだされば
満天の星にも満たされて
今夜の泊まりは
明日へのよびかけ
祈り酒をあたためて
鳴く鳥の静けさを
今日の葉にものせて

浄土ヶ浜
空、海、白奇岩
岩の上にはアカマツの緑葉
岸で鳴る小石の音をたしかめて
漁師の磯舟
サッパ舟にのり

青のどうくつ

血の池地獄へ

ウミネコも
あつまり舞う波の上
絶景をぼんやりと
名勝の地であそび
楽も極まる昼下がり


北リアス線
●宮古駅から
またガタゴトゆられては


●田老駅


●島越駅

着いたところは

鵜の巣の断崖
屏風のような高200
幾重もの断崖に
荒波が砕けちるさま
両眼にうつるのは
崖と海の長い約束
遊歩道ものんびりと

●田野畑駅

北山崎
泡しぶきにサッパ舟がいけば
波の丘と漁師の風に
くったくのない笑顔がはしゃぎ
幼ごころに素直にかえる
さざ波を染める色は
とめどなく
海からのお裾分けに
また海が好きになる

龍泉洞窟
国指定天然記念物
日本三大鍾乳洞
坑道は迷路のごとく
響かせるのは
冷たさと闇
そのさきに
神秘の地底湖が広がり
妖精は
ここにもいるかしらと

さて
久慈まで行きましょうか

●普代駅





●久慈駅

「あんやー
どっからのお客さんだべ」

お国の言葉に
南部せんべいを頂きまして
すいた小腹にちょうどよくて
此処もまた誰かのふるさと
流れているのは古風な時

小袖海岸
北限の海女さんは
ウニ、アワビを素潜りで
海を響かせる大空の雲
海を響かせる女の花形



駅舎におり

海に添い
舟うごかす人に
鳴く鳥に

花に風に月に雪に
岩手の人に

いづれの眺めも
美しく心地よく

汁にもひつにも
満たされました

昔と今に語られる
贅沢な旅


ご乗車を
ありがとうございました

枕木に残した余韻に
またいつの日か

いつの日かまた


自由詩 三陸鉄道〜その瞳をみていたら〜より Copyright 黒木アン 2015-03-30 08:48:32
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