きりこ(南三陸)〜その瞳をみていたら〜より
黒木アン

何もないはずの
ひろびろとした野原が
車窓を飛び越え
ひきとめるのです

それは
この地方に伝わります
「きりこ」



語り立つ白いボードには
切り抜いた思いが
あずけられ
かつての玄関から
商店から
暮らした地から
海に向かって
たてられていて

懸命に生きていますと
助かりました命に
誓うように

生きた証に想い巡らせ
奮い立たせる命に
決意見せるように

海をみて眠る
愛する魂へ
今紡ぎたい音を
届けておりました



ここに
素晴らしい町が
あったのだと
そう思いましたら

そこには
明日のための
今日の願いが
見えたのでした

風雨の中でも
惜別の時にも
それは凛々しく


自由詩 きりこ(南三陸)〜その瞳をみていたら〜より Copyright 黒木アン 2015-03-28 09:44:55
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