形跡。
梓ゆい

父の声が、聞こえなくなった。

「もう、泣くのは止めなさい・・・・。」と

私を突き放したのだろう。

匂いの消えた、フリースマフラー。
折りたたんだ簡易ベット。
もうすぐ手放すファミリーワゴン。

何かを整理して
何かを捨てるのは

生きねばならぬ残酷な現実。

(私は、願う。)
早く追いかけられるよう
空を見上げながら・・・・。

(私は、願う。)
そのときは迷わぬよう
父の元へ向かえる様に。



自由詩 形跡。 Copyright 梓ゆい 2015-03-28 00:04:57
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