キリ/サク/即興ゴルコンダ(仮)投稿.23
こうだたけみ
キリ/サク
たぶんこれは掛け声。首をはねた後、刀を反して袈裟斬りにする。昔教えてもらった殺陣の。教えてくれた他校の先輩は女の子が好きなんだって、女ばかりの演劇部の、悪気のないうわさ話に、
ハナ/サク
桐の花が咲くのは桜が終わった後、若木や元気な木は花を咲かせないんですと、検索すれば簡単に出てくるインターネットは便利なのか恐ろしいのかわからないけれど今年も桜は咲くし散る、日さえ検索してみれば、
サク/サク
サクサクと音がする甘さひかえめビスケット、よく振ってお飲みください沈殿する言葉など、指切りげんまんの千本針で串刺しになる、私ら幸福な家族、の肖像は、
トウ/サク
滅多に笑わないあなたの顔が魚に見えるのは目を見開いたまま無表情でいる魚たちに愛着があるからで食用魚ならカワハギがいいペロッと剥ける皮におちょぼ口の、当たりがあるとコツコツという釣りの男のロマンの、
サク/ラン
乱獲される魚たち。切り倒される木々。森がなくなって動物が里に下りる。荒らされる田畑。嘆く農民の、数の少なさは食糧自給率に表れて、先行き不透明な島国の、数百年前にいた侍が斬り結ぶ。キリキリ舞いをしているわって声がする桜の森の満開の、下で乱れる春の宵。