再会・ヘンドリックと妹のマリー
オダカズヒコ



ぼくは壁にもたれかかって
缶ビールを飲んでいる
うんざりして
溜息まじりに
机の上の
電波時計を見ると 夜だとわかる
正確な時間など必要ない
今は夜
夜だとわかればいいんだ

ヘンドリックのTシャツが1枚
バルコニーで
潮風に打たれ
パタパタと揺れている
その向こう側に
改修中のポートタワーが見える
こないのかと思った・・

妹を連れてきたよ
妹って
去年お前が孕ました人妻のことか?

ぼくはヘンドリックの隣で
チョコんっとソファーに腰を掛けている
雌クマの顔を見た
バカ言え!
ちゃんとした妹だよ
妹もやっぱり「クマ」なんだな・・
何か言ったか?

ヘンドリックは
しばらく見ないうちに
また太ったようだ
新しいTシャツを
買わないとな

すみません
兄がいろいろとお世話になりまして
そう言って
妹のマリーはペコリと頭を下げた
あー!世話が焼けるさ!
そう言いたい衝動を抑えてぼくは

いや
ハンバーグを焼くより簡単さ
ハンバーグ?
なぁヘンドリック
お前ハンバーグ好きだよな!
何だよ急にハンバーグって

ぼくらはこうしてまた
あの日の夜に戻り

この奇妙な同居生活を始めたんだ
焼けつくような夏
めくるめく運命の流転が
はじまったんだ


自由詩 再会・ヘンドリックと妹のマリー Copyright オダカズヒコ 2015-03-25 21:20:28
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