そしてまた恋をするだけ。
かんな




ことばを紡いでみたくて
両手で口を押さえた朝方のこと
小鳥がついばんだ恋について
きれいなものばかりを集めることについて
並べればすべてはいびつだと言った
みんな泣きたいだけなのだな

九日間という月日をいっしょに過ごした
恋人同士という名目で抱き合った
数えきれるキスをして
察しきれない互いの傷をなめあった
そういえば随分経つけれど
記憶の中核から消えないのはなぜだろう

朝焼けを見るよりは夕焼けを感じたい
沈むのも悪くないよと言った
説明を求めたらきっと美化されない
だからみんな語らないのだろう
海に生きるのも陸に暮らすのも
絶え間ない呼吸が必要なんだとおもう

コンタクトの青いレンズを思い出す
ダークブラウンのサングラスについて
エゴイストプラチナムの香りを覚えている
シックなモノトーンの服装について
語らなくて聞き損ねた愛について
一回り離れた年齢を今さら足してみる

明日と昨日について考えている
そうしてしか今日を算出できないでいる
にんげんはただの生き物だ
成功も失敗も繰り返すことを忘れない
思うんだけど、と言った瞬間に消える
あなたもわたしもただの生き物

そしてまた恋をするだけ。







自由詩 そしてまた恋をするだけ。 Copyright かんな 2015-03-25 20:17:13縦
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