fall
mizunomadoka

飼い猫の毛が逆立ち
逆さに降る雨粒が月を濡らす

冬に失った体温を戻そうと
白く四角い出窓から
春の粒子が舞い込んでくる

対岸の兄弟は庭先で麻を育み
買ったばかりの銃を磨く
幼い頃は一緒に遊んだのに
生き方が違って離れた

不器用に寄り添いあう二人
猫の欠伸

あちらが秋で
こちらが春なら、季節のせいと
納得できる

でもそんなことなく
雨はいつも月から降る
こんな夜に

この地面に









自由詩 fall Copyright mizunomadoka 2015-03-19 15:07:19
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