晩秋から
……とある蛙
白い季(とき)の帳は
突然目の前に現れ
薄いスクリーントーンのように
視界を屈折させる
肌に訪れる
乾燥の刺激と
氷点下の憂鬱
眩い雪原の幻惑は
うなだれた首元に
重くのし掛かる
また、南に台風だよ
テレビ受像器の音声を
奥歯の奧の内耳の骨で
聞き流す
今 十分に暗いニュース
の連絡が
それとも夏の終わりの
ジメジメしたニュースか
落涙する男の
昨日聞いたのは
誰の冗談か
「また」
来るよと約束した
秋の別れは
唐突であった。
その 「また」
は
あいまいな
あいまいな
また
一年越しの約束
そこに
のっぺらぼうの男が佇む
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妻