神様
やまうちあつし

アミマは十三歳の少女
人口百人足らずの
山奥の村に住んでいる
学校には行かず
というか学校はなく
日中は家の仕事を手伝ったり
弟や妹の面倒を見て過ごす
楽しみといえば
時折ラマの背に乗って
村はずれの崖まで
夕焼けを見に行くこと
先日出稼ぎに行っている父親が
スマートフォンを買ってきた
しかし村は
それが機能する電波状況になく
電話やメールをする相手もなく
ラマの背に揺られて
意味もなくいじってみたり
たまに市場に行ったついでに
異国のアニメを見てみたり
さて、アミマの心の中には
昔ながらの神様が住んでいて
彼女が祈りを捧げると
にっこりと微笑み返す
彼女が困っている時には
美しい羽を広げてみせる
その羽は
この世のあらゆる色を
まだらに混ぜた模様をしていて
それを見た後
彼女は決まって嬉しくなって
近くの野良猫を追い回す


自由詩 神様 Copyright やまうちあつし 2015-03-09 12:06:05
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