学校が終わる
オイタル
もうすぐ学校は終わりになる
十何回目かのチャイムが鳴って
生徒たちは むやみな言葉を散らばして
風が 折れたラケットを転がして
そしてもうすぐ学校は
終わりになる
終わりだよって 誰か 言いにくる
グランドの向こうの木立の前で
後ろ足を失ったカモシカが
青白い脇腹を見せている
ゴム長をはいた猟師が
背の高い木の枝先の折れた具合で
曇った空の風向きを読んでいる
学校はもうすぐ終わりになる
みんなが泣いている
知らせに来た誰かが
トイレのわきの 壁にもたれている
終わった後の次の日の
片付けの足取りはきっと
しっかりしている
学校はもうすぐ終わりになる
遠くの空で 町の鐘が鳴る
昨日泣いた女の人が
横断歩道で汚い言葉を吐いている
昼すぎに並んで帰った車が何台も
道端の縁石に腹を擦っている
そうこうして
終わった後の学校は静かに眠る
学校はもうすぐ終わりになる
君の学校は消えていく
腹を失ったカモシカが
木立の中で倒れている
若いカモシカが
土手の途中で首をかしげている
一番最後のチャイムが鳴って
そうして今日
学校は終わりになる