100% 濃厚スープ
藤鈴呼



こってりとしたスープの中に
濃密な時間ばかりが隠れてる

扉を開けるのは蓮華

紅い花びらが 楽しそうに揺れる頃
ブランコは 風に揺られて 遊んでる

砂浜に ゆっくりと 着地して みようか
波が 僕等の軌跡を
全て 洗い流して しまう前に

細い 棒切れで描いた 「愛してる」
もう一度だけ 言って?

ひっそりとした波間に漂うカモメを
ウミネコと 勘違いしている

ボートのヘリを 歩く男性
窓を開けようとして 驚く女性

世の中には 男と女しか いないのだと思っていた

でも 知っている
そうでは ないこと
そうでなくても いいってことも

薬味が有るから 
ドロドロの血液が 波打つのだ

カテーテルの管を通って流れる映像は
今まで眺めた どんな映画よりも 鮮明だろう

ブラウン管って言葉の意味が 
通じなくなるような世界まで
生きて いられるかな

あのね 透明な液体が 流れて行ったよ

点滴の話じゃないの
頬を流れる 温かな 涙の話

ゆっくりと ひっそりと
流れて 云ったのよ

また 明日ね って

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自由詩 100% 濃厚スープ Copyright 藤鈴呼 2015-03-07 22:29:01
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