戸惑い
ヒヤシンス


 朝靄の木々の中を歩いてゆく。
 無言の挨拶をうるさく感じている。
 今再びの予兆にただ独り、俯き、
 それでも精神は前を向こうとしている。

 透明なピアノの音が遠くで鳴っている。
 音の流れを見い出せず、ただ単音の連なりに反応する。
 生を生きている者には生ぬるい感情。
 冷たさの極限は死であるか。

 ふと甘えたくなるひと時は、つらく、怖い。
 厚めのダウンで何から身を守ろうというのか。
 小川のせせらぎで鴨が膨れている。

 晴れ間を待つのも行動か。
 今はまだ、木々の枝先も鋭く、
 まるで僕を威嚇しているようだ。


自由詩 戸惑い Copyright ヒヤシンス 2015-03-06 13:08:21
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