49日。
梓ゆい

父の祭壇の後ろに回りこみ
白い布の結び目をほどき
小さなロケットの中に1・2本の欠片を入れた。

「ごめんなさい。ごめんなさい。お父さんごめんなさい。」

近くに居て欲しいと願い
いたずらよりも悪どい行いを泣く娘は
それが心の寄り代となるようにと
手の中で父であったはずの欠片を握り締める。

(傍で、見守って欲しい。)という
愛を請うだけの純粋さと共に。

「お父さん。お父さん。どうか近くに居てください。」

触れれば
粉々になりそうな手の中の欠片よ。
それが父であった一人の人間とは
どう信じれば良いのだろうか?


今はもう
手の中に納まる小さな小さな欠片。

娘の名を呼ぶ様に
かしゃり・・・・。かしゃり・・・・。と
ぶつかり合う。


自由詩 49日。 Copyright 梓ゆい 2015-02-24 18:23:22
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