風コック
藤鈴呼
桜が見事だねぇ
空を見上げる
流れる雲が
一本の 線となる
久し振りの 飛行機雲だ
こちら側からは 見えるけれども
飛行機雲の 乗客からは
私の姿が 見えるだろうか
空の 彼方の 小さな粒から
地上の 隙間の 小さな心を
見渡した時だけは どうか
見下さないで 下さいなと
願う
踊る
揺れる
一陣の風
次の 風タイムは
何時ですか
予約は 取ってない
風コックの 取っ手も無い
クッと 捻った時
スッと 首を 捻りながら
行き過ぎた 街が
花びらで
埋め尽くされて いきます
だから 笑おう
くすっ と
笑顔のクスリを 飲んだならば
元気に なれますよ
どの棚に 置いて在るのか
見つからなくたって 大丈夫
あの風コックが
教えて くれますから
安心して いてね
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