旧道
フユナ


県南の町を
目指していくと
いつの間にか
新しいバイパスに入り込んでいた


どこでわかれたろう
さっきまで 慣れた道だったのに
わかれ道すら気付かず
私たちは
知らない道を渡り切った


どこかに 行くため
私たちは何本も
道を敷いた
山沿いの急勾配
宿場への街道
割れ目から花の咲くコンクリート
草を踏み分け歩いた頃から
鉄屑で走り抜ける今まで
旧道に置かれた
いくつもの石碑をそのままに
その時々の新しい道筋が
一番正しいような顔をして
一番短く正解に辿り着く
そんな顔をして
いつの間にか敷かれた道を
私たちは粛々と進んでいる


どこでわかれたのかさえ
あやふやなまま


ふと
振り返った
その時に悔やむのが
私のように
旧道沿いのソフトクリームの事だけなら
良いけれど






自由詩 旧道 Copyright フユナ 2015-02-23 22:35:03
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