ヴァンダとルネ
Seia

しろい床に置かれた名札付きひとつのハコ
そこにはふたつのいのちそれぞれが
部屋を出るほんとのほんとの直前に
それじゃ
余韻を残し振り返ってセルフィー
ルネへひとこと
そして雷鳴
つめたい、いくら近づいてもつめたい
ヴァンダがそばにいました
正反対なのになぜですか
あおくてまるいものだったから
それしかここにはなかったから、
競いあうようにころがしているふたつの今
くるはずだった明日
明日をころころと
ときのむこうにはみらい
みらいがすぎていくのでしょう
すぎたことのない昨日
昨日と過去を
からめてからまってしまうまま
おもちゃをつぶしてしまいました
色を失った破片が飛び散り舞う
鈍いひかりを放つ
いくつもの爪が砕く
何度も何度もさいせいし
転がり転がって外へと響く
こわれた音が耳の少しうえをするり通過
視界がゆらりゆがんだがさいご
わたしをゆるせ
膝からくずれてもたれかかっている
落書きだらけで水玉模様の
ひどくかたい扉の下で
体育座りをしながらおもうのです
やりなおそう、はじめから右に寄せて、と。


自由詩 ヴァンダとルネ Copyright Seia 2015-02-22 22:27:13
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