痰が飛んだ
花形新次

喉がいがらっぽかった
痰が絡んでいた
構わずきみとおしゃべりした
きみとのおしゃべりは楽しかった
きみのことが好きだった
瞬間、僕の口から
何かが飛んだ
薄緑の物体が飛んだ
飛んだ先は
目の前のきみだった
きみの頬だった
そして飛んだのは
僕の痰だった
きみは僕の話に笑いながら
ポケットから
ハンカチを取りだした
頬をさりげなく
さっと拭いてしまい
また話続けた

俺、こいつのためなら死ねる

絶対に死ねる

そう思った


自由詩 痰が飛んだ Copyright 花形新次 2015-02-19 22:31:22
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