双葉町ダルマ市〜その瞳をみていたら〜より
黒木アン

花舞う春空のしたで
あの土手にねころんで
言ってだそうな
「とおちゃんが
だるまを買ってくれたから」

卒業だっぺ
青春の一番いい時をさ
絶望と生きぬくつらさで
こんなん長ぐ
よぐも頑張ったわい

生きっとは
なんせ たいへんなことなんだべ

とおちゃんの子だっぺ
強くなるべ
この子は
強くなるべ
千年に一度の強い子だべさ
負げでなんねーぞ

落ちる夕陽はさ
あの田んぼを
恋しぐすんなあ
今は無人の地になってしまったわい

とおちゃんさ
湯気のたつ味噌汁を
もう一度一緒に
のみでいな……
おめうちでさ……


自由詩 双葉町ダルマ市〜その瞳をみていたら〜より Copyright 黒木アン 2015-02-18 20:51:28
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