バイバイ・エンキドゥ
AB(なかほど)


 今
 君が飛び立つ理由を僕は知らない
 君が微笑んでいる理由も僕は知らない
 なあ エンキドゥ
 この世でやるべき事は僕よりも多いはずだし
 この世で愛されているのも君の方だ
 
 生命のエネルギーに充ち満ちていた
 皮膚が白くなってゆき
 その代償に色の無い羽がはえ
 その羽をさすると一瞬だけ消えるのだが
 君はかえって淋しそうな顔になり
 また もとのように

 色の無い羽はやがて翼へと
 そして 広がり
       ゆらぎはじめた


    *******

 精神の世界の中で生きるからって
 それでかっこつけてんの

 あんたがそうしていたって
 こっちは目え皿にして
 耳の穴かっ穿じって
 末梢神経をつなぎあわせて
 あんなこともこんなことも
 嘘も本当もみんなひっくるめて
 吸い取ってやる

 そんでもっていつか
 精神の世界の中とやらに入り込む時には
 天才だなんて呼ばれているあんたにも
 ちょっとは教えてやるさ


    *******


 今
 君が飛び立つ理由を僕は知らない
 君が微笑んでいる理由も僕は知らない 

 バイバイ、エンキドゥ



   

  


自由詩 バイバイ・エンキドゥ Copyright AB(なかほど) 2003-11-08 06:04:24縦
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