お日様の詩
たちばな まこと

あなたは笑っているのか
どこにいてもわかるお日様の声

私たちの心臓は揺れていて
駆けつけたい気持ちではちきれそう
あなたの詩は泣いていて
文字をなぞれば指が濡れ
ゆき場の無い塩水が光っている

蝋梅のこみちであなたを思う
高らかにひろがるお日様の声
みんなで美味しい夕餉をかこったり
楽しいお酒を呑んだり
言霊を交わしたり
愛しい時間を思い出す
お日様のような夏の花のような
あなたの笑い声

私は
歳の割には失ったり得たりしたものが多いのかもしれない
だけど 比べものにならない
長いときを共に寄り添って
あなたと世界をつくってくれた人
あなたの子どもを産んでくれた人
あなたの
つよさ、よわさ、癖、ほかにもたくさん
撫でたりこねたりあたためたりしながら
絶え間なく受け止めてくれたのでしょう
比べるものでもないけれど
悲しいとも苦しいとも怖いとも言い切れないその気持ちは
知っているからとても痛い

空が泣いている
雨水にはまだ届かず
今日はみぞれ
お日様が泣いている
花びらが舞い散る
泣かないでお日様
お日様の歌う歌を聴きたい
お日様がこぼす笑い声を聞きたい
お日様にまつわる物語を読みたい
お日様の詩
お日様の詩






自由詩 お日様の詩 Copyright たちばな まこと 2015-02-17 08:32:31
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