人魚の足
日々野いずる

電気ストーブの前でうずくまる
足が床と同化して
人魚のひれのように広がっている
根をはってぎしぎしと軋む

暖かさを分け与える生き物になりたかった
私の手は冷たくて
電熱線の人工の暖かさを与えられては逃している

動かれない
床に貼り付いた足
パリパリの皮膚に水は与えられないでいて
変身のとけそうな午前八時

息苦しくせわしい息をする
はくはくと
仲間の金魚は水槽で
ぽこぽこと泡を吐いている


自由詩 人魚の足 Copyright 日々野いずる 2015-02-09 09:20:25
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