彼女の目
あおい満月


橙の蛍光灯にてらされて、
膨れ上がった球体は熱く、
床に落ちていた
縫い針で、
ぷちり刺してみる。
球体が弾けて、
鼠色の煙から、
たくさんの色とりどりの球体が、
猫の手になっておしよせてくる。



その目には嘘をつけない。
オニキスの目。
すべての果てをみぬく目。
思案にふけるその皮膚は
彼方の空の雲を追う。
どこからか声がする。
するとその身体は、
風を振り切って
声に向かう。

**

声をかける。
応える声は雪になって、
頭を撫でていく。
そのやわらかさと
つめたいあたたかさが心地よく
その尻尾を抱きしめると、
たわわな胸にたどり着く。
そこにはプラネタリウムがあり、
きらびやかな白鳥座が
翼を拡げて迎えてくれる。
それは、
片手では掴みきれない
あたたかな宇宙。


自由詩 彼女の目 Copyright あおい満月 2015-02-08 20:44:32
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