背骨
あおい満月


じかんがないから、
時間を減らす。
くちにできないから、
乳首をしゃぶってみる。
こえにならないから、
耳をふさいでみる。
めにみえないから
視界を凝らしてみる。

階段をのぼれないから
岩をおりてみる。
逆さのことを、
賛成の反対を、
真正面を、
斜にみてみる。

(なにもみえない)

カードをシャッフル
することは出来るのに、
同じトランプを捲ることが出来ない。
こんな日は、
昼と夜にくるくる変わる猫の目がほしい。
ひかりのなかで、
誰かが作った一ミリにも
満たない隙間の闇のなかの、
途切れることのない
連鎖を見つけられたら、
傷をつけるよりも早く
ロンドになって同化する。
小さくなるからだは
さかなになって胎内にもどっていく。
巻き戻される音楽が
逆さの身体を造るように祈る。

足裏に耳を、
手の甲に目を、
肋骨に唇を、
鎖骨に鼻を、
背骨に産毛を揺らして。


自由詩 背骨 Copyright あおい満月 2015-02-07 13:13:59
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