空席
千波 一也


誰でも座ってかまわない席だから
誰でも座ってかまわない席ばかりだから
わたしは却って窮屈になる

わたしの決断はすべて
わたしの責任のもと、許される
ご自由にお座りください、という言葉の軽さは
そこそこに重荷だ

誰でも座れる席だから
誰でも座れる席ばかりだから
もしかしたら
誰もいないのと同じことかも知れない

物事を
ひとつに決めるのは
行く先を
ひとつに定めるのは
危ういこともままあるけれど
安堵に満ちることも往々にしてある

誰をも受容するか
はたまた誰をも無言のうちに拒むか
座席はただ、ある

無数を装って
確実に
個々に







自由詩 空席 Copyright 千波 一也 2015-02-07 11:58:24
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